手取りは「天引き後」の給与!どこから何が差し引かれているか知っておこう

読了まで約 5

「手取り」「年収」「額面」など、給与額を表現する言葉には様々なものがあります。しかし実はそれぞれの言葉がどんな数字を意味するのかを、よくわからない人も多いのではないでしょうか。

ここではそれぞれの言葉の意味を説明するとともに、手取りがどうやって計算されるのかを解説します。

「手取り」の計算方法

「手取り」「額面」「年収」、それぞれの意味

「手取り」とは給与のうち「手元に入るお金」のことです。給与が手渡しの企業なら直接渡される金額を、銀行振込の企業なら口座に振り込まれる金額を「手取り」と呼びます。なお、手取りは「差引支給額」とも呼ばれています。

対して「額面」とは基本給に残業代や通勤手当、住宅手当のほか、企業によって実施されている各種手当などを合計したものです。額面は「支給額」とも呼ばれています。

この額面と支給額、そして「年収」は同じ数字です。手取りを差引支給額と呼んでいることからもわかるように、これらは「差引」を行う前の給与を指します。

「手取り」の計算方法とは

額面から差し引かれる金額が「控除額」です。「源泉徴収(もしくは天引き)」される金額のことで、税金関係のほか、社会保険料も控除額に含まれます。したがって、手取り額は以下の計算式で導くことができます。

額面(年収、支給額) - 控除額(税金、社会保険料など) = 手取り(差引支給額)

控除額には、税金・保険料の他にも企業で独自に天引きしている財形貯蓄や組合費なども含まれています。

「額面」から差し引かれる社会保険料とは

ここからは額面から差し引かれる金額のうち、「社会保険料」について見ていきましょう。主な社会保険料は次の4種類です。

健康保険料

健康保険料は、会社員や公務員などの場合は企業と従業員で半分ずつ負担することになっており、従業員が負担する額が給与から天引きされています。

例えば協会けんぽの場合、東京都の健康保険料は給与(標準報酬月額)の9.91%ですが、本人の負担は約半分の4.955%となっています。この健康保険料率は都道府県ごとに定められています。
なお標準報酬月額とは、毎月の給与などの報酬の月額を区切りの良い幅で区分した金額で、健康保険料では第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は給与(標準報酬月額)の18.300%です。ただし、健康保険料と同様に、厚生年金保険料の半分は企業が負担しているため、従業員の負担率は9.15%です。

なお厚生年金保険料の標準報酬月額は第1級の8万8千円から第31級の62万円までの全31等級に区分されています。

介護保険料

介護保険料は40歳から64歳までの「第2号被保険者」及び65歳以上の「第1号被保険者」が支払う保険料で、そのうち第2号被保険者の保険料は給与から差し引かれます。協会けんぽの介護保険料率は給与(標準報酬月額)の1.57%。これも他の社会保険料と同じく、会社員や公務員などの場合は半分を企業が負担しています。

なお介護保険料の標準報酬月額は、健康保険料と同様に第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。

雇用保険料

失業時の保障金の給付や病気や怪我で仕事ができない場合の傷病手当の給付などを行ってくれるのが雇用保険。保険料率は一般の事業の場合、給与の0.9%ですが、このうち従業員負担は0.3%であり、残りの0.6%を企業が負担しています。

「額面」から差し引かれる税金とは

次は額面から差し引かれる金額のうち、「税金」について見ていきましょう。主な税金は所得税と住民税の2つです。

所得税の概要と計算方法

所得税は文字通り「所得に課せられる税金」です。日本の所得税制においては「累進課税」と言って、所得が高い人ほどより多くの税金が課せられます。

平成27年分以降では課税される所得金額が195万円以下の人は5%の税率が適用されますが、対して課税される所得金額が4,000万円超の人の場合の税率は45%です。

住民税の概要と計算方法

住民税は都道府県に納める都道府県民税と、市区町村に納める市区町村民税(東京都23区の場合は特別区民税)で成り立っています。

この2つの住民税を構成するのが「均等割」「所得割」という2つの税金項目です。

均等割は都道府県民税では年額1,500円、市区町村民税3,500円で、合計5,000円。所得割は課税される所得に対し、都道府県民税で4%、市区町村民税で6%、合計10%の課税がされます。ただし平成30年度以後は、指定都市に住所を有する者について都道府県民税2%、市民税8%となり、指定都市へ税源が移譲されます。これらは各地方自治体の条例により異なる場合があります。

額面と手取りの差が大きい=高所得者

前項で挙げた4つの社会保険料は全て給与(標準報酬月額)に基づいて計算されています。また所得税及び住民税の所得割も、課税される所得に応じて税額が変動します。

すなわち所得が大きいほど「額面」から差し引かれる「控除額」が大きくなるのです。したがって、「額面」と「手取り額」の差が大きければ大きいほど、より多くのお金を稼いでいると言うことができます。

まとめ

「手取り」は「額面」から税金や社会保険料などの「控除額」を差し引いた後の給与額を指します。ここでの説明で、主にどんなものが控除額として額面から差し引かれているのかが理解できたのではないでしょうか。

いくら額面の給与が上がっても、自分が実際に使えるのは「手取り」の分だけ。額面に一喜一憂せず、堅実な使い方を心がけたいものです。

関連記事

「住民税は2年目から」サラリーマンなら知っておきたい税のしくみ
通勤手当の非課税限度額の改定|節税に役立つ知識
住民税の滞納はメリットなし!ペナルティ「延滞税」を徹底解説

給与計算は、簡単で間違えないマネーフォワード クラウド給与をご利用ください。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します。



「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料