譲渡所得の税率は所有期間によって低くなるって本当?

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譲渡所得はあなたがその資産をどれくらいの期間所有していたかによって税率が異なります。

ここでは、

1.譲渡所得の持つ性質
2.紛らわしい所得との見分け方
3.税率が変わるボーダーラインの所有期間と実際の税額計算

の3つのポイントを紹介していきます。

そもそも譲渡所得とは

譲渡所得とは所得税法における課税所得10パターンのうちの1つです。

所得税法で定められている税金が課される所得には、

1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得
9.一時所得
10.雑所得

の10種類があります。

それぞれ所得の持つ性質が異なることから、公平に税金の金額を算出するために計算方法や税率を変える必要が出てきます。

たとえば所得が発生するタイミングで考察してみると、

資産運用によって生じる所得:利子所得や配当所得
労働の対価として得られる所得:給与所得や事業所得
資産を処分することで発生する所得:譲渡所得

と分類することができます。

さらにコンスタントに得られる所得かどうかという観点から眺めると、

一定の頻度で定期的に発生する所得:利子所得や配当所得
突発的に発生する所得:不動産所得や譲渡所得
長い歳月を経ないと得ることのできない所得:山林所得や退職所得

というように所得の性質は大きく異なることがわかります。

譲渡所得は「譲渡所得税」と呼称されることがありますが、実際には譲渡所得税という税金や税法はありません。

譲渡所得とは、資産を処分(売買、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資など)することによって臨時的に得られる所得という性質を持っており、通常の所得税計算である総合課税とは異なる「分離課税」という特例の計算方法を用いることになります。

そのため「譲渡所得税」という税金や税率があるかのように捉えられてしまうのです。

譲渡所得と他の所得との見分け方

また譲渡所得に該当する資産に、土地や借地権、建物、借地権があるため、不動産所得との違いがわかりにくくなっています。

資産を処分することで得られる性質が共通していることから、事業所得(不動産業が不動産等の資産を事業として処分して得た所得は事業所得です)と譲渡所得はとてもよく似ています。

不動産所得と譲渡所得、事業所得と譲渡所得をそれぞれ対比させて、どのように異なるのか見分け方を解説します。

不動産所得との見分け方

不動産所得との違いはとてもわかりやすいです。
その不動産を所有しているかどうか」がボーダーラインとなります。

たとえば家賃収入は、不動産を所有しながら得られる収入であるため、不動産所得になります。しかし譲渡所得は家賃収入を得るための不動産そのものを手放すことによって得られる所得であるため、不動産所得にはならないということになります。

事業所得との見分け方

事業所得の概念として、「営利を目的として反復した活動から発生した利益であるかどうか」という視点があり、これがそのまま譲渡所得との線引きになります。

譲渡所得は臨時収入的な性質を持ち合わせているため、反復したり継続したりすることによって得られる利益は譲渡所得とはならず、事業所得に該当するということになります。

譲渡所得に該当する資産の考え方として、もともと販売したり売却したりといった目的を持たないかどうか、というものがあります。

投資目的でマンションを購入したとしても、所有権を手放さずに賃貸物件として貸し付けた場合は不動産所得に該当するため譲渡所得とはなりません。

ただし、始めから売却する目的でマンションを購入することは、商法第501条の絶対的商行為に該当するため、たとえ1回限りであったとしても事業所得に当てはまる可能性が高くなります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得を計算してみよう

譲渡所得には短期譲渡所得と長期譲渡所得があります。

短期譲渡所得になるか長期譲渡所得になるかの境界線は、「譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうか」となります。

また土地や建物に関する譲渡所得は、他の所得とは別に分離課税という計算方法によって税額を求めることになりますが、それぞれの税率は以下のとおりとなります。

 短期譲渡所得の税率長期譲渡所得の税率
所得税30%15%
復興特別所得税2.1%2.1%
住民税9%5%

短期譲渡所得の計算方法

課税短期譲渡所得金額が500万円だった場合

所得税:500万円×30%=150万円
復興特別所得税:150万円×2.1%=31,500円
住民税:500万円×9%=45万円
合計:198万1,500円

長期譲渡所得の計算方法

課税長期譲渡所得金額が500万円だった場合

所得税:500万円×15%=75万円
復興特別所得税:75万円×2.1%=15,750円
住民税:500万円×5%=25万円
合計1,015,750円

まとめ

譲渡所得は不動産所得や事業所得と間違いやすい所得です。そのため分離課税や総合課税、長期と短期の税率を間違える以前の問題として、他の所得を間違えて選択してしまう可能性があります。

本来不動産所得であるものを譲渡所得としたために税率を間違えて計算してしまうことが考えられるため、十分な注意が必要となります。

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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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