個人事業主の退職金制度を知ろう

フリーランスとして働く人が増えているなか、個人事業主の退職金制度について知りたい人も多くなっているのではないでしょうか。

中には、「個人事業主には退職金が出ない」と考えている人も多いと思いますが、個人事業主でも退職金を用意することができます。経営不振による廃業や健康的な問題でやむなく仕事ができなくなるリスクもありますので、きちんと退職金制度について知っておくようにしましょう。

個人事業主の退職金制度について

個人事業主でも、退職金制度を用意することはできます。いくつか制度がありますので、それらを見ていきましょう。

小規模企業共済制度

この制度は、常時従業員を20名以下雇用している個人事業主や会社の役員などが加入できる制度です。国が昭和40年に発足したもので、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているため、安心して加入することができる制度です。

毎月1,000円〜70,000円の掛金を、500円単位で選び、退職金を積み立て、廃業時などに受け取ることができます。

途中で減額したり増額したり、前払いすることもできますので、将来的に経営に不安があったとしても、安心して加入することができる制度です。

特定退職金共済

各地の商工会議所などで運営している退職金共済制度です。商工会議所によって制度の細かな内容は変わりますが、毎月掛金を掛けることで、退職金を準備します。

また、掛金にかかった金額を経費や損金として計上でき、非課税で支払うことができるといったメリットもあります。過去10年までさかのぼって支払うこともできますので、長年個人事業主として働いてきた方も、今から退職金を準備することができます。

加入する際には年齢制限などがある場合もありますが、基本的には誰でも加入でき、従業員を加入させることもできることがほとんどです。個人事業主として加入したい場合や、雇用している人に退職金を用意したい人にもおすすめの共済制度ですので、一度、地域の商工会議所に相談してみてはいかがでしょうか。

上記では具体的な共済制度を紹介しました。しかし、中でも小規模企業共済は、受け取る理由で共済金の種類が変わりますので、注意しておきましょう。

例えば、廃業したり死亡したりした場合に受け取る共済は「共済金A」と呼ばれます。死亡時には、家族である配偶者や子、孫や祖父母などが請求することもできる共済金です。

個人事業主は、定年というものが実質無い人も多いのではないでしょうか。中には、世間一般的な定年である65歳を過ぎても、働いている人もいます。

それでも、以前のようにはバリバリ働けないという現状に悩んでいる人もいることでしょう。そんな人が受け取れるのが、「共済金B」で、満65歳以上、掛金の払込が180ヶ月以上の場合は、働きながら老齢給付を受け取ることができます。

最後にあげるのが、「準共済金」です。配偶者や子に事業を譲渡した場合、12ヶ月以上の掛金の納付をしていれば、受け取ることができる共済金です。

共済金は、自らが掛金を支払うことで受け取ることができます。そのため、掛金の額、共済金の種類によって、受け取ることができる共済金額が変わります。

小規模企業共済の税金面でのメリット

小規模企業共済のメリットは、退職金を受け取れるということだけではありません。

小規模企業共済

(参考:事業主向けの退職金共済|川越商工会議所

上記の表には、所得税と住民税の税額が記載されています。

一般的に、所得がある場合、所得税と住民税を支払わなければいけません。しかし、掛金を払い込むことで、その掛金の全額が所得控除の対象となり、結果、節税することができるのです。

例えば、所得が400万円あり、毎月1万円の掛金を支払っていた場合は、36,000円の節税が可能になります。掛金が大きくなればなるほど、所得が多くなればなるほどこの節税額は大きくなり、所得が1,000万円、毎月の掛金が70,000円の場合には、約36万円の節税ができることになるのです。

年間に数万円の節税ですが、これが毎年積み重なれば大きなものになります。

また、共済金を受け取る際にも、節税することが可能です。共済金を一括で受け取る場合には退職所得扱いになり、分割で受け取る場合には公的年金等の雑所得扱いとなります。

受け取るときにも退職所得控除などの対象となりますので、共済金をかけていれば、事業を営んでいる最中にも、退職してからも、2回に渡って節税効果を得ることができるのです。

その他のメリット

個人事業主の退職金として小規模企業共済制度に加入することは、節税のメリットだけではありません。

掛金を払い込むと、その掛金の範囲内ではありますが、事業資金等の貸付を、無担保、無保証人で受けることができるのです。この共済制度は国が運営しているものですので、信用度が高く、法人よりも資金調達が難しい個人事業主にとって、強い味方となってくれるでしょう。

そして、この制度で受け取ることのできる共済金額は、掛金納付月数によっても違います。毎月1万円を納付していた場合には、5年の納付月数では、共済金Aは約62万円ですが、納付月数が30年の場合には、約430万円となります。

また、受取方法も一括と分割の2種類があり、退職後のライフスタイルに合わせて受け取ることが可能です。ただし、同条件では受取金額に差がでますので、注意してください。

同条件で、一括受取の場合は603万円ですが、それを10年分割受取にした場合は約630万円、15年分割受取にした場合は約651万円と、分割で受け取った場合のほうが、受取額がアップします。

まとめ

個人事業主は、自分が働くことをやめてしまうと、無収入になるというリスクがあります。

退職金というと、健康的に高齢まで働いてもらうものというイメージもありますが、途中で働けなくなる将来のリスクをしっかりと認識しておきましょう。その上で、制度の概要をきちんと把握し、堅実に無理がない方法で掛金を選ぶなど、計画的に制度を利用していきましょう。

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監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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