住民税<普通徴収と特別徴収の違いとは?>

普段は意識しないことですが、税金には国に納める「国税」と地方に納める「地方税」の2種類があります。

住民税は地方税の普通税に該当し、地方自治体が地方税法に則って徴収しています。

地方税法そのものは総務省が所管していますが、実際には都道府県や市区町村といった地方自治体が主体となって徴収業務を行うことになっているため、総務省のサイトには地方税に関する概要や統計データがメインの掲載内容となっています。

実際の住民税計算方法や徴収方法に関する問い合わせ先といった具体的な内容は、各自治体のサイト上で詳しく記載されています。

住民税の徴収方法には普通徴収と特別徴収の2種類ありますがここでは、

・普通徴収と特別徴収がどのような点で異なるのか
・あなたはどちらの方法によって徴収されているのか
・徴収方法が切り替わることがあるのか

などを解説していきます。

住民税の普通徴収と特別徴収の違い

住民税の普通徴収は、納税者が自ら市区町村に住民税を納税するものであり、自営業者、フリーランスの方など特別徴収の対象とならない人に適用される住民税の徴収方法となります。

原則として市区町村が個人に対して納税通知書を交付し、6月、8月、10月、1月の年4回に分けて徴収する形式をとります。

住民税の普通徴収に関しては、

地方税法第319条(個人の市町村民税の徴収の方法等)
地方税法第319条の2(個人の市町村民税の普通徴収の手続)
地方税法第320条(普通徴収に係る個人の市町村民税の納期)

で定められています。

住民税の特別徴収は、基本的には給与の支払いを受けている人に対して適用される住民税の徴収方法となります(なお、年金を受け取っている人が住民税の特別徴収で納税する制度もあります)。

会社から給与の支払いを受けている人は、会社が給与から所得税を徴収し、本人に代わりに納付するという源泉徴収という制度があり、この源泉徴収の制度と合わせて、会社が毎月の給与から住民税を差し引いて従業員らの代わりに納付するという特別徴収の方法が採られているのです。

住民税の特別徴収に関する根拠法令は以下のとおりとなります。

地方税法第317条の6(給与支払報告書等の提出義務)
地方税法第321条の3(給与所得に係る個人の市町村民税の特別徴収)
地方税法第321条の4(給与所得に係る特別徴収義務者の指定等)
地方税法第321条の5(給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等)

それでは実際にあなたの住民税がどちらで徴収されているのかを確認しましょう。

あなたの住民税はどちらの徴収方法?

あなたの住民税が普通徴収と特別徴収のどちらかで徴収されているかは、毎月の給与明細書で「住民税」として控除されているかどうかでわかります。

給与明細書の控除欄に住民税という項目がある場合は、「特別徴収」によって住民税を会社経由で都道府県や市区町村へ納めていることになります。給与明細書の控除欄に住民税という項目がない場合や、給与収入がない自営業者の場合は「普通徴収」によって住民税を納税していることになります。

住民税は前年度の所得をもとに計算したものを徴収しているため、退職した場合に特別徴収から普通徴収に切り替わることがあります。

退職月が1月1日から4月30日までであれば退職するまでに特別徴収としてまとめて控除されますが、6月1日から12月31日に退職した場合は、特別徴収で残りの住民税を一括納付するか、普通徴収として自分で納付するか選択することができます。

退職月
徴収方法
1月
1月分、2月分、3月分、4月分、5月分の5か月分を一括控除
2月
2月分、3月分、4月分、5月分の4か月分を一括控除
3月
3月分、4月分、5月分の3か月分を一括控除
4月
4月分、5月分の2か月分を一括控除
5月
5月分のみ控除
6月
6月分~翌年5月分の12か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
7月
7月分~翌年5月分の11か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
8月
8月分~翌年5月分の10か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
9月
9月分~翌年5月分の9か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
10月
10月分~翌年5月分の8か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
11月
11月分~翌年5月分の7か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる
12月
12月分~翌年5月分の6か月分を退職金などから差し引くか自分で納付するか選択することができる

なお、間を空けずに転職するような場合には、新しい勤務先で引き続き特別徴収を選択することが可能となりますので、その際には、上表に加え特別徴収の継続というパターンが出てきます。この場合、「給与所得者異動届出書」という書類に新しい勤務先の所在地、名前及び連絡先などを記入して提出することが必要となります。

上記表の根拠となる法令は以下のとおりです。

地方税法第321条の4 第5項 (給与所得に係る特別徴収義務者の指定等)
地方税法第321条の5(給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等)
地方税法第321条の5の2(給与所得に係る特別徴収税額の納期の特例)
地方税法第321条の7(給与所得に係る特別徴収税額の普通徴収税額への繰入れ)

また、普通徴収は個人が主体的に納税する形式をとりますが、特別徴収は給与から差し引いて徴収をするため、徴収側にとってもより確実に徴収することが可能となります。

そのため多くの地方自治体では特別徴収を推進する傾向にあり、9つの都道府県と市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)が共同して、特別徴収をアピールしている事例もあります

まとめ

給与を受け取っている人にとっては、住民税は特別徴収の方法により毎月の給与明細書から差し引かれており、1年分を12回に分けて納税していることになります。しかし、普通徴収で納税している人にとっては、1年分を4回に分けて税額していることになるため、「住民税は負担が大きい」というイメージを持ってしまいがちです。一度自分が納税している住民税の金額と徴収方法を確認してみましょう。

参考

「個人住民税の特別徴収推進に関する九都県市共同アピール」について

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監修:山邊 泰匡 (公認会計士)

株式会社ナレッジラボ 取締役
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