固定資産の修繕費は資本的支出に該当する場合も?修繕費と資本的支出の違い

固定資産を修繕したのであれば、修繕費として費用計上することになります。しかし修繕した内容によっては修繕費とは認められず固定資産の資本的支出となり、経費計上が認められない場合があります。

固定資産の修繕費と資本的支出の違いを正しく理解するとともに、修繕費とはならなかった資本的支出をどのように対処すればいいのかを紹介します。

固定資産の修繕費と資本的支出の違い

修繕費とは固定資産の通常の維持管理や固定資産を破損等で機能低下したものを、元の状態に原状回復させるためにかかった費用をいいます。資本的支出とは元の機能していた状態に回復させると同時に、使用期間を延長させたり、付加的な機能を加えるために支払った金額をいいます。

修繕費はマイナスからゼロにするためにかかった費用、資本的支出はゼロまたはマイナスからプラスにするためにかかった費用と考えると、わかりやすいのではないかと思います。

工事発注書の件名が「補修工事」や「改修工事」であったとしても、

・工事することによって価値が増加している
・工事することによって使用できる期間が延長している

という内容であれば修繕費ではなく固定資産の資本的支出と判断されます。

具体的には、

・非常階段を物理的に付け加える(=価値の増加)
・用途変更のために改装や改造を加える(=価値の増加)
・高性能の部品に取り換える(=価値の増加および使用期間の延長)

場合が、修繕費ではなく資本的支出と判断されることになります。

ただし、

・修理代金が20万円未満
・3年以内の周期で頻繁に補修しなければならない

場合は、内容は資本的支出に該当したとしても固定資産の修繕費として費用計上することができます。

つまり、非常階段を取り付けたとしても19万9,999円で収めることができれば、資本的支出ではなく修繕費となります。

反対に、どのような場合が修繕費に該当するのかというと、

・地盤沈下した土地に地盛りをした場合(=原状回復)
・水はけをよくするために砂利を敷き詰めた場合(=現状維持)

が挙げられます。これらは、原状回復もしくは現状維持のためにかかった費用としてみなされるからです。

修繕費と資本的支出の線引き事例集

それでは実際にどのような場合が修繕費となり、どのような場合が資本的支出になるのかを見ていきましょう。

case1:ソフトウェアを法改正アップデートした場合

法改正に対応した内容にしなければ、ソフトウェアとしての機能を果たすことにはならないため、ソフトウェアやプログラムを法改正に応じた機能にアップデートするための費用は、資本的支出ではなく修繕費として判断します。

法改正に対応する以外の拡張機能を追加した場合は修繕費とはならず資本的支出となる点で注意が必要です。

case2:災害の場合

災害によって修理が必要になった場合、原状回復をするために支出した費用は修繕費となるのはもちろんですが、二次災害を回避するなどの目的で耐震性を高めるために行った補強工事は、被災前の効用を維持するために行われるものであると判断されるため、資本的支出には該当せず、修繕費として処理することが認められています。

しかし、被災前の効用を維持しない補強工事等は、資産価値を高めることになり、資本的支出に該当します。

case3:蛍光灯をLEDランプに取り換えた場合

従来使用していたものよりも高性能のものに取り換えて資産価値が高まったり耐久性を増したりした場合は、修繕費ではなく資本的支出に該当するというガイドラインがありました。

しかし、LEDランプに替えただけでは建物という固定資産そのものの資産価値が高まったとは言い切れないことから、蛍光灯をLEDランプに替えた場合は資本的支出ではなく修繕費となります。

case4:そもそも少額減価償却資産に該当する場合は消耗品

減価償却資産の中でも10万円未満の資産や使用可能期間が1年未満の資産は「少額減価償却資産」に該当するため、修繕内容が資本的支出に該当したとしても消耗品として経理処理することができます。

たとえばマンションのカーテン取り換え費用が1室あたり4万円としたときに、そのカーテンが従来よりも遮光性が高くなり価値が増加したと考えられる場合であったとしても、少額減価償却資産の10万円未満に該当するため、消耗品費として処理することができます。

また、そのマンション1室だけでなく200室すべて取り換える場合は800万円の支出となり、少額減価償却資産の10万円未満を軽々と超えてしまいます。しかしそのような場合であったとしても1室あたりの取得価額で判断するため、800万円の支出は消耗品費とすることができます。

まとめ

固定資産の修繕費となる部分はその年の修繕費として費用計上しますが、資本的支出となる部分は耐用年数に応じて減価償却することになります。どちらも費用計上できる点において違いはありませんが、費用計上にかかる回数が異なってきます。

修繕費はその年限りの費用となりますが、資本的支出は耐用年数分の費用計上が必要になります。たとえば耐用年数が10年であれば1年に1度の減価償却を行なうことになるため、10回分の費用計上が必要になるということになります。

さらに期の途中からとなった場合は月割計算する必要もあるので注意が必要です。

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監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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