法人の決算準備のためにしておくべきことまとめ

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年度末が近づいてくると、やはり気になる決算処理。ただでさえ忙しい年度末に、決算手続きをして確定申告に納税…と毎年頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

法人決算のために準備しておくべきことについて、今回は会計処理的側面を中心にまとめてご説明します。

そもそも決算は何のためにするのか

まずは面倒に感じてしまう決算処理の意義をしっかりと確認しておきましょう。決算を行う意義は、主に下記の3つの側面が考えられます。

経営判断的側面

一定期間で会社の会計情報を締め、その期間の損益計算書(PL)で表される経営成績と貸借対照表(BS)で表される財政状態により、会社の1年間の成績が見えてきます。その成績を分析し、今後の経営判断に活かしていくことができます。

IR的側面

上記の損益計算書や貸借対照表などの会計情報を社外のステークホルダーに開示するという側面があります。

納税義務的側面

企業活動を行う法人は、その経営成績に応じて納税義務を負います。企業活動を行う法人が負う主な税金は、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税です。経営成績によっては、納税ではなく、税金の還付を受けることもあります。

決算処理を行う本来の目的は会社の成績を知り、今後の経営に活かすという「経営判断的側面」ですが、特に中小企業の場合、気になるのは納税義務的側面ではないでしょうか。

その一方で、きちんと決算を行えば税制の優遇措置や還付を受けることもあります。しっかりと決算手続きを行い、その後に控える納税に備えましょう。

決算が来る前にやっておくこととは

決算を行う上で気になるのはやはり決算後の「納税の期限」が挙げられます。法人税を申告しないまま期限を過ぎてしまうと、納付税額の5%以上の加算税が課せられます。

「期限に間に合わなかった」といったことにならないために決算を行ううえでの期限を確認しておきましょう。

法人の確定申告・納付期限は、主に下記のようになっています。

法人税・消費税・地方税…事業年度終了の翌日から2ヶ月以内

日本で最も多い3月31日が事業年度終了の法人だと、確定申告・納税の期限は5月31日になります。

決算時期が来て大慌て、では必要な書類が揃っていなくて大変なことになります。日頃から下記のことをしておくようにしましょう。

■日頃から行っておきたいこと
・日々の会計処理を正しく行いましょう
・現金実際残高と現金出納帳残高の差異がないかを月次で毎月確認し、差異がある場合は原因を突き止めておきましょう
・できれば月次決算を行っておきましょう

特に、現金実際残高と帳簿上の差異を確認しておくことは重要です。のちの税務調査でも必ず追及される項目なので、知らぬ間に差異が大きくなり原因がわからなくなる前に細かく確認しておくと良いです。

決算時期が来てしまった!直前にやるべきこと

いよいよ決算月に入ってから、申告・納付期限までにやるべきことを確認しましょう。

決算日に行うこと

・決算日に現金実際残高と現金出納帳残高の一致・差異原因を確認する

面倒であっても、小口現金などは担当者を変えて2回数え検算するなどして正確な現金実際残高を算出しましょう。

・決算日に棚卸しをして在庫を確認する

実地棚卸をして決算日時点の在庫数を確認しましょう。在庫の種類は商品、仕掛品、材料などに分けられます。種類ごとの一覧表にしておきましょう。

決算翌月に決算会計処理で行うこと

主に、BS科目について「実際と帳簿は合っているか」、「リスクのあるものはないか」などの確認作業になります。ひとつひとつの作業は地道なものですが、会社の実態を知る上でもとても意義のある作業になります。

・預金関連
金融機関から、決算日時点での残高証明書を取得しましょう。会計上の預金残高と照合する証憑(根拠書類)とします。この際、差異が見られれば預金利息の計上漏れなどの可能性もあるので、利息を計上しましょう。

・債権債務関連
売掛金について、相手先毎の残高確認をし、支払期限が過ぎて滞納の債権になっていないかを確認しましょう。

滞納の期間や相手先の支払能力に応じて、貸し倒れのリスクがある不良債権であると認められれば、引当金を計上する必要があります。実際に貸し倒れてしまった場合には引当金を取り崩し、損失を計上します。債務である買掛金についても同様に相手先毎の残高確認を行いましょう。

借入金については、返済予定表と残高証明書を金融機関から取得し、相手先別残高の確認を行いましょう。

受取手形・支払手形を利用している場合には、現金残高の確認と同様に、実際の残高と帳簿上の残高が一致しているかの確認が必要です。

・固定資産関連
建物などの大きな固定資産から無形のソフトウェアなどまで、固定資産として計上されているものについて、実際と帳簿が合っているかを確認しましょう。

具体的には、既に廃棄したのに、帳簿上残ったままになっているものはないか、新規に取得したのに計上漏れをしていたものはないか、金額は合っているのかといった確認になります。

まとめ

決算直前に焦るのでなく日頃からしっかりと準備しておくこと、行う会計処理の全体感を見渡しておくことで余裕を持って決算期を迎え確定申告・納付期限内に手続きを済ませることができます。

また、多忙になると忘れがちになる「会社の経営判断のため」という決算本来の目的を念頭に置き、決算を行うことでより見えてくる会社本来の姿(経営成績・リスク等)があるかもしれません。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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