中小企業の軽減税率が廃止される?

税法では、中小企業の法人税に軽減税率を適用する特例が認められています。ところが、政府税制調査会では、この軽減税率の廃止が議論されています。

ここでは、中小企業への軽減税率が適用される要件を踏まえて、その廃止議論の動きについて解説します。

中小企業の軽減率の特例

現在の税法には、中小企業の法人税率を軽減する特例があります。リーマンショックの影響を受けたことで景気が悪くなり、中小企業の経営に大きな打撃があることを考慮して設けられた措置です。

中小企業はこの特例の恩恵を受け、所得800万円までは、税率が15%に軽減されています。ただし、この特例の適用を受けられるのは、決算時点の資本金が1億円以下、または資本金を有しない法人に限られています。

税率を詳しく見てみましょう。

資本金が1億円を超える法人には、その所得に対して一律25.5%の税率で課税されています。ところが、この特例の適用を受ける法人の税率は、以下のように800万円より多いか少ないかで税率が異なります。

・決算した事業年度の所得金額が800万円以下の部分に対して15%
・決算した事業年度の所得金額が800万円を超える部分に対して25.5%

例えば、所得金額1,200万円の場合、800万円までは15%、残りの400万円については25.5%の税率が適用されるのです。新しく会社を設立するときには、資本金を1億円以下、所得金額を800万円以下に抑えると、節税効果が高くなるとも言えます。

対象外となる法人

なお、この特例の適応が認められる中小企業というのは、普通法人、人格のない社団等、公益法人等、協同組合等などを指しています。普通法人とは、資本金が5億円以上である大法人との間に支配関係がない法人のことです。

つまり、資本金が5億円以上の大法人の完全支配下にある普通法人、または、発行済株式のすべてをそれら支配法人(複数の場合を含む)に保有されている場合は対象外となります。

軽減税率が廃止される?

ところが、政府税制調査会では、この中小企業の法人税に軽減税率を適応する特例を廃止しようという議論が高まっています。特例の期限は26年度末と定めてあったため、この期限をもって廃止する案がでてきたのです。また、こうした中小企業への優遇措置は、結果的に収益力が低い企業を存続させてしまうために、産業の活性化が阻まれる可能性がある、という理由も挙げられています。

この特例が廃止されると、中小企業も大企業と同一の25.5%の税率を課せられるということです。ただし、軽減税率をはじめとして、減価償却制度や繰越控除制度の見直しなどの実質的な増税対策は、中小企業への負担も大きく、反対意見も多く出ています。

その他の中小企業への優遇措置

参考までに、法人税の軽減税率以外で、中小企業に対する税的優遇措置にはどのようなものがあるのか、確認しておきましょう。

・法人都道府県民税
・事業税
・法人市町村民税

都道府県や市町村により違いがありますが、資本金や所得金額の点から中小企業とみなされる場合には、大企業よりも税率は低く設定されています。

まとめ

上記で見てきたように、中小企業に対する税的優遇措置を設け、中小企業の事業活動をサポートする対策が取られていました。しかし、今回、詳しく紹介した中小企業の法人税への軽減税率などの優遇措置は、中小企業の経営に役に立っているにもかかわらず、政府の税制調査会では廃止の動きがあります。

一方で、この政府の動きに対しては、社会経済を根底から支えている中小企業を守るために、反対の意見も数多くあります。給与所得者であっても、会社の経営に係わる大切な税制に関することであるため、自らの利益を守るためにも、軽減税率について確かな知識を得ることが重要です。

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BIZ KARTE編集部

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