• 更新日 : 2021年5月31日

帳簿とは?主要簿・補助簿の種類と意味は?書き方や簡単な記帳方法をわかりやすく解説!

帳簿とは?主要簿・補助簿の種類と意味は?書き方や簡単な記帳方法をわかりやすく解説!

帳簿とは

帳簿とは、事業の取引や資産や負債、お金の流れなどを記録した帳面や台帳のことです。厳密にいうと、会社の経理などで作成される会計帳簿(会計簿)のことですが、一般的に帳簿と呼ばれることが多いです。帳簿では、取引の内容だけでなく、日時や取引先、財産の状況などさまざまな事を記載する必要があります。

また、帳簿は、大きく分けて主要簿補助簿に分かれます。確定申告で税務署に提出する必要はありませんが、保存しておかなければなりません。

帳簿が必要な理由とは

帳簿が必要な理由は、日々の取引を把握し、会社の財政状況や経営状態を把握できるようにするためです。会社の財政状況や経営状態を把握できるということは、正しい経営判断ができることを意味します。決算時に作成する決算書は日々、つけられている帳簿を基礎にして作成します。具体的には、帳簿に記載された勘定科目や金額、残高などを集計し、決算書を作成します。

決算書は、大きく分けて現金などの資産や買掛金などの負債が記載された貸借対照表と、収入や経費が記載された損益計算書の2つがあります。帳簿を正しくつけることにより、貸借対照表からは正しい会社の財政状況が、損益計算書からは正しい経営状態が把握でき、正しい経営判断ができるようになります。必要な帳簿は、事業形態や申告の種類などで異なります。

事業者だけではなくフリーランスも確定申告で帳簿は必要

フリーランスが確定申告で帳簿が必要な理由は、フリーランスの収入の多くが税務上、事業所得とみなされるからです。税務上、事業所得があるその場合は帳簿を作成して保管する必要があります。

また、青色申告で特別控除を受ける場合は複式簿記を用いた帳簿付けが必要です。

※簡易簿記での帳簿付けをする場合には主要簿は不要で、補助簿のみ作成する必要があります。必要な帳簿や書類、保存期間、帳簿の書き方などは国税庁の以下のページをご参照ください。
国税庁|帳簿の記帳のしかた

帳簿の種類は主要簿と補助簿がある

<帳簿における主要簿・補助簿の違い>

帳簿主要簿総勘定元帳
仕訳帳
補助簿現金出納帳
預金出納帳
固定資産台帳
売掛帳
買掛帳

このほか、補助簿には商品有高帳や仕入先元帳などがあります。
帳簿とは、取引の内容を記録するためのものです。その帳簿は、主要簿と補助簿とに区分されます。
主要簿とは、どの会社においても必要不可欠な帳簿で、取引があると必ず記入されるものです。
一方、補助簿とは、必要に応じて記入するもので、主要簿の内容を補うために使われます。補助簿にはいくつかの種類がありますが、会社によって必要なものだけを使用します。

主要簿の記帳方法

主要簿とは、総勘定元帳と仕訳帳の2つの帳簿のことです。

総勘定元帳とは、日々の取引の記録を勘定科目ごとにまとめたものです。勘定科目ごとにお金の流れが記されているため、科目ごとの内容が分かりやすく、また記載内容の間違いなども気づきやすくなります。

仕訳帳とは、取引を勘定科目に関係なく、すべての取引を日付順に記載した帳簿のことであり、すべての帳簿のもとになる重要なものです。日付順に記載していくため、その日の取引の記帳漏れがないかどうかを確認しやすくなります。

一般的に、まずは日々の取引を仕訳帳に記載し、その後、総勘定元帳を作成する流れになります。

仕訳帳や総勘定元帳などの主要簿は、記載事項は決まっていますが、法令などで様式が決まっていないため、製品ごとにフォーマットが異なります。
ここからは、各帳簿ごとにフォーマットの1例をご紹介します。

仕訳帳の記入方法や書き方のポイント

仕訳帳とは、全ての取引の仕訳を日付順に記入した帳簿のことです。フォーマットはさまざまなものがありますが、下記でその一例を紹介します。

仕訳帳

【仕訳帳の記帳方法】

  1. 日付:取引日を記入します。
  2. 摘要:「現金」、「売上」といった勘定科目を記入します。また、「A会社」といったようなメモも摘要欄に残します。
  3. 元丁:総勘定元帳に転記した際のページを記入します。ページが記入されていれば、転記が終了したことがわかります。
  4. 貸方・借方:勘定科目を記録した行に、貸方勘定の金額、もしくは借方勘定の金額を記入します。
  5. 区切線(仕切線):1つの取引ごとに、摘要欄に線を引き、前後の取引との区別がつくようにします。また、1つの取引は、ページをまたぐことができないため注意が必要です。

【書き方のポイント】
仕訳帳を記入するときのポイントは、日付順が大原則です。

詳しい仕訳帳の書き方は、次の記事を参考にしてください。

総勘定元帳

総勘定元帳とは、仕訳帳をもとに作成する帳簿のことで、勘定科目ごとに記録します。

なお、仕訳帳の内容から総勘定元帳を記入することを「転記」と呼びます。総勘定元帳では、現金は現金でまとめて、売り上げは売り上げでまとめて記録されるため、例えば、1年分の現金の取引の流れや金額を知りたいといった場合に役立ちます。また、総勘定元帳をもとに、試算表が作られます

総勘定元帳

【総勘定元帳の記帳方法】

  1. 日付:取引日を記入します。
  2. 摘要:仕訳帳で相手勘定科目となっている科目を記入します。例えば、仕訳帳で借方が「現金」貸方が「売掛金」となっており、現金についての記入をしているならば、摘要欄は「売掛金」となります。また、相手勘定が2つ以上の場合には「諸口」と記入します。
  3. 仕丁:総勘定元帳は仕訳帳を転記することで作成されますから、その転記元のページ番号を書きます。
  4. 借方・貸方:借方であれば借方に、貸方であれば貸方の欄に、金額を記入します。
  5. 借/貸:残高が借方残高であれば「借」、貸方残高であれば「貸」と記入します。
  6. 残高:その行の時点での残高を計算し、記入します。

【書き方のポイント】
総勘定元帳は、勘定科目ごとの記録をする帳簿のため、記入は勘定科目別に行います。
総勘定元帳で、必要な項目は、日付、相手方勘定科目(摘要)、借方・貸方の金額、残高です。
会計ソフトの場合、摘要欄が勘定科目欄と摘要欄の2つに分かれて、摘要欄に取引内容を記載するようになっていたり、仕丁欄や借/貸欄がないものもありますが、問題ありません。

詳しい総勘定元帳の書き方は、次の記事を参考にしてください。

補助簿の記帳方法

補助簿とは、主要簿を補助するために作成される会計簿のことです。主要簿では記載できない、取引内容の明細を記載します。

補助簿には、詳しい取引の内容を確認したいときにすぐに把握できるメリットがあります。よく使われる補助簿には「現金出納帳」「仕入帳」「売上帳」「支払手形記入帳」「売掛金元帳」などがあります。

現金出納帳や売上帳などの補助簿は、記載事項は決まっていますが、法令などで様式が決まっていないため、製品ごとにフォーマットが異なります。
ここからは、各帳簿ごとにフォーマットの1例をご紹介します。

現金出納帳の記入方法や書き方のポイント

現金出納帳とは、毎日の現金の流れと残高を把握するための帳簿です。現金での取引が発生した順に記入し、残高を計算します。

現金出納帳

【現金出納帳の記帳方法】

  • 日付:取引の発生日を記入します。
  • 摘要:取引内容の説明を記入します。例えば、「A商店へ売り上げ」、「B商店の売掛金を回収」というように、取引の相手方も記入しましょう。
  • 収入金額・支出金額:取引で発生した、現金での収入または支出の金額を記入します。
  • 残高:収入と支出を差し引きし、残高を求め、記入します。なお、この金額は手元にある現金残高と一致します。
  • 繰越:月末には摘要に次月繰越と記入し、残高、収入金額・支出金額を記入します。また、月始には、摘要に前月繰越と記入し、残高、収入金額を記入します。
  • 【書き方のポイント】
    現金出納帳には、現金での取引を発生順に記録します。

    会計ソフトの場合、摘要欄が勘定科目欄と摘要欄の2つに分かれて、摘要欄に取引内容を記載するようになっているものもありますが、問題ありません。

    詳しい現金出納帳の書き方は、次の記事を参考にしてください。

    仕入帳に記帳するときのポイント

    仕入帳とは、商品の仕入れの状況を詳細に記録するための帳簿です。
    仕入帳には、仕入れの明細を記録します。
    総勘定元帳でも、仕入勘定でまとめますが、総勘定元帳ではわからない、仕入れの個数や単価なども記入します。仕入帳には、仕入れ数に変化があった際に記入します。返品時や商品の値引き時にも記入するので気をつけましょう。

    売上帳に記帳するときのポイント

    売上帳とは、売り上げの明細を記録するもので、総勘定元帳の「売上」勘定の補足をします。
    売り上げがあった場合に、売り上げ数や売り上げ単価などを記入します。返品・値引きに関しても同様です。

    支払手形記入帳に記帳するときのポイント

    支払手形記入帳とは、約束手形を振り出したり、為替手形を引き受けたりした場合など、支払手形の増減にともなう支払手形の状況を詳細に記録するための帳簿です。

    支払手形は、現金の代わりに利用されるものです。手形を利用する取引があった際には、支払手形記入帳に、手形の受取人(代金として手形を受け取る人)、振出人(手形を発行した人)、摘要(取引内容)、手形を決済する金融機関などを記入します。

    売掛金元帳に記帳するときのポイント

    売掛金元帳とは「掛け」で取引を行った際に記入する帳簿で、取引先別に「売掛金」の残高がわかるものです。
    総勘定元帳の「売掛金」勘定からは把握できない、どの相手方にどのくらいの売掛金があるかを記録します。

    簡単に帳簿をつけるなら会計ソフトがおすすめ

    帳簿は、必要な事項が記載されていれば、その様式は問われません。例えば、手書きやエクセルで作成しても問題ありません。しかし、手書きやエクセルでの帳簿付けは不安という人も少なくありません。

    そこで、帳簿をカンタンにつけるなら会計ソフトがおすすめです。会計ソフトなら、パソコンやアプリで日々の取引の入力をするだけで、自動で各帳簿を作成することができます。手書きのように転記ミスや計算間違いがなく、エクセルのように、関数の設定間違いや設定し忘れもありません。正確かつ簡単に帳簿付けするなら、会計ソフトの利用を検討しましょう。

    管理方法については、紙保管に比べると簡便に扱える電子的な保存方法を以下の記事にて解説しています。

    まとめ

    帳簿とは、事業の取引や資産や負債、お金の流れなどを記録した帳面や台帳のことです。帳簿は日々の取引を把握し、会社の財政状況や経営状態を把握できるようにするために必要となります。

    帳簿には、主要簿と補助簿の2つがあります。主要簿は、日々の取引のすべての取引を記載されている帳簿で、補助簿は主要簿の記載内容を補助する帳簿です。それぞれの帳簿で記載内容が異なるため、帳簿の書き方や記載方法のポイントをおさえることが重要になります。

    会計ソフトを使えば、日々の取引の入力をするだけで、主要簿や補助簿を自動で作成することができます。簡単に帳簿をつけるなら、会計ソフトがおすすめです。

    よくある質問

    帳簿とは?

    事業の取引や資産や負債、お金の流れなどを記録した帳面や台帳のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

    帳簿にはどのような種類がある?

    主要簿と補助簿があります。詳しくはこちらをご覧ください。

    帳簿を簡単につける方法は?

    会計ソフトを用いることがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。


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