事業主貸と事業主借を正しく使い分けるには?事例と仕訳でわかりやすく解説!

個人事業主のみが使う「事業主勘定」という勘定科目をご存知ですか?

事業主勘定には、事業主貸と事業主借があります。理解が難しいとされているこの2つについて、事例を挙げながら解説します。

事業主勘定

個人事業主の場合、プライベート用と事業用のお金の区別をつけることは困難です。個人事業主では給料という概念がないので、必要な場合に事業用のお金を引き出したり、逆に事業資金が足りなくなったら自己資金から事業用にお金を移したりします。

このような場合に使われるのが事業主勘定で、その状況によって、事業主貸と事業主借があります。

この2つは名前を混同しやすく、仕訳の貸方借方との違いに戸惑うなど、理解に時間がかかるといわれています。以下で具体例を学び、事業主勘定について確認しましょう。

事業主貸

事業主貸とは、事業のお金を個人事業主自身のために使用する際の勘定科目です。

以下が事業主貸を使う場合の実例と仕訳(借方/貸方)です。

■自身が使う生活費として80,000円を事業用の口座から引き出した
 事業主貸 80,000 / 普通預金 80,000

給料がないため、生活費など必要なものは、このようにして事業用のお金からプライベートのお金に移します。

■国民健康保険料として50,000円を事業用の口座から支払った
 事業主貸 50,000 / 普通預金 50,000

国民健康保険料、国民年金保険料は個人に使われるもののため、事業主貸となります。しかし、確定申告の際には、所得金額から控除できることを念頭に置きましょう

■所得税45,000円を事業用の口座から支払った
 事業主貸 45,000 / 普通預金 45,000

所得税は必要経費にならないため、プライベートな支出とみなされます。そのため、事業主貸となりますので気をつける必要があります。

■事業用と自宅を兼ねている家屋(按分は事業:自宅が4:6)の家賃10万円を事業用の口座から支払った
 地代家賃 100,000/普通預金 100,000
 事業主貸 60,000/地代家賃 60,000

なお、すべてのものを事業主貸とする前に必要経費にできるものがないか確認しましょう。必要経費とすることで、節税に役立ちます。

事業主借

事業主借とは事業主貸の逆で、事業に必要なお金を事業主個人のお金から支払う時に使われます。

以下が「事業主借」を使う場合の実例と仕訳(借方/貸方)です。

■事業用口座の資金が足りなくなったので、個人事業主のプライベート口座から70,000円を移した
 普通預金 70,000 / 事業主借 70,000

■事業に使うプリンターのインク代4,000円を個人事業主の財布から支払った
 消耗品費 4,000 / 事業主借 4,000

■事業所への通勤定期代65,000円をプライベート用のクレジットカードで支払った
 交通費 65,000 / 事業主借 65,000

■事業用口座に利息150円がついた
 普通預金 150 / 事業主借 150

事業用口座の利息は個人事業主自身のお金とされるため、事業主借の勘定科目を使います。また、預金利息は利子所得に該当しますが、源泉分離課税方式にて源泉徴収がされているため、確定申告の必要はありません。

■サラリーマンと個人事業主を兼業していて、給料(基本給20万円、手取り金額18万円、源泉徴収2万円)が事業用の口座に振り込まれた
 普通預金 180,000/事業主借 180,000
 仮払税金(または事業主貸) 20,000/事業主借 20,000

期首における事業主勘定と元入金

確定申告を終え、翌年の期首には事業主勘定をゼロとします。前年の事業主貸と事業主借の勘定科目は以下の方法に従い、元入金を加減します。

1.事業主貸と事業主借の残高を出し、相殺します
2.事業主貸が多い場合、元入金から引きます
3.事業主借が多い場合、元入金に足します

もしくは、下の計算式に当てはめるやり方でも新年度の元入金を求めることができます。

新年度の元入金=前年の青色申告特別控除前の所得+前年における期末の元入金+事業主借-事業主貸

まとめ

個人事業主のプライベート用と事業用のお金を分けるために重要な事業主勘定について解説しました。

紛らわしい部分もありますが、例をもとに事業主貸と事業主借をしっかり把握しましょう。また、経費とできる事業主貸がないかを確認することで、節税につながるため、事業主貸勘定を使う時はプライベートとして使うお金なのか、経費にできるものがないのかを、今一度考えてみましょう。

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監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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