• 更新日 : 2021年7月15日

役員退職金の税金について

役員退職金の税金について

役員退職金にかかる所得税は給与や賞与所得とは別に計算されており、退職金にかかる所得税の負担が軽くなるよう特別な扱いを受けています。

役員退職金の課税対象額は、累進緩和措置により、退職金総額から退職所得控除額を引いた残額の半分(1/2)となっています。ただし、平成25年以降、勤続年数が5年以下の役員の場合、役員退職金の税率に関して累進緩和措置が適用できなくなりました。

広告

\確定申告の書類は自動作成でカンタンに!/

広告
来年の確定申告をもっとラクに

日々の取引入力、申告書の作成から申告作業まで、1つで完結するのが「マネーフォワード クラウド確定申告」。家計簿感覚で簡単に使えるので、初めての方にも多くご使用いただいています。

スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。

マネーフォワード クラウド確定申告
詳細はこちら 無料で使ってみる

役員退職金について

税法上、役員(役員等)とは法人会社の取締役や理事、執行役、監査役のほか、国会議員や国家公務員、同族会社において一定の株式を持ち経営に従事する使用人(みなし役員)のことをいいます。

その役員等の退職金には、会社から受け取る退職手当だけでなく、生命保険会社または信託会社から受け取る退職一時金、死亡退職金なども含まれます。

役員退職金にかかる税金の計算方法

役員退職金にかかる税金には、所得税と住民税が課税されます。

その計算は、まず、課税対象となる退職所得の金額を求めることから始めます。「退職した際に受け取った収入総額」から「退職所得控除額」を差し引いた数値に1/2をかけると、課税対象となる退職所得が算出されます。

なお、退職時に受け取った収入総額には、年金契約によって受け取った退職一時金も含まれますが、本人が支払った保険料や掛け金は収入総額から差し引くことができます。

退職所得 の金額= [退職した際に受け取った収入総額-退職所得控除額] ×1/2

所得税:退職所得の金額に所得税の税率をかけ、控除額を差し引けば、所得税額が算定できます。

住民税:これまで退職所得から差し引くことができた10%の税額控除が廃止となり、累進緩和措置を適用した退職所得の金額に住民税の税率をかけて税額を算定することになりました。

広告

\確定申告の書類をカンタン・自動作成!申告作業をラクに/

退職所得控除額の求め方

課税対象となる退職所得の計算に出てくる「退職所得控除額」は、退職者の勤続年数をもとに計算され、退職者の勤続年数が20年以下のケースと20年超のケースとでは控除額が大きく変わってきます。「退職所得控除額」の計算は、以下のとおりです。

退職者の勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 退職者の勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円。)
20年以上 800万円+ 70万円 ×(退職者の勤続年数- 20年)

退職金は損金算入できる?

役員退職金を支払う法人は、法上過大と見なされない程度の適正な金額であれば、損金算入することができます。損金(会計上の費用)は、税金計算において益金(会計上の収益)から差し引くことができ、課税対象額を減らします。

損金算入するには、原則として、株主総会の決議を得る必要があり、そこで支給金額が確定すると、その日の属する事業年度に損金として扱うことが可能です。

適正な役員退職金の判断基準として、その役員の勤続年数や退職する理由、事業内容と規模が類似する他の会社における役員退職金の金額などが挙げられます。

累進緩和措置の見直し

税法上優遇されてきた退職金を税金の負担回避に利用するケースもあるため、平成25年以降、勤続年数が5年の役員が受ける退職金に対し累進緩和措置が廃止になりました。

これにより、課税所得計算において、退職金総額から退職所得控除額を差し引いた残額を半分(1/2)にすることができなくなり、課税対象となる退職所得は、「退職金による収入額」から「退職所得控除額」を差し引いた数値となります。

課税対象となる退職所得=退職金による収入額-退職所得控除額

役員退職金に対する所得税額 ={(退職金による収入額)-(退職所得控除額)} × 税率-控除額

例えば勤続年数が5年以下の役員に対する退職金が1200万円だとすると、 *課税対象となる退職所得は、改正前は500万円でしたが、改正後は1,000万円となります。なお、退職所得控除額の計算は、上記の「退職所得控除額の求め方」を参照してください。

改正前:{1,200万円- 40万円 ×5年}× 1/2=500万円

改正後: 1,200万円-40万円 ×5年=1,000万円

*所得税の金額は、改正前は57万2,500円でしたが、改正後は176万4,000円となります。

改正前:500万円 ×20%(所得税の税率)- 42万7500円(控除額)=57万2,500円(所得税額)

改正後:1,000万円 × 33%(所得税の税率)-153万6,000円(控除額)=176万4,000円(所得税額)

まとめ

上記のとおり、勤続年数が5年以下の役員退職金については大幅な増税となりました。役員退職金が税負担が軽くなるよう特別に扱われる理由は、退職金が長年の勤務に対する功労・慰労を意味する対価であり、退職金を受け取る本人にとって、老後の生活の保障となる場合が多いためです。

関連記事

役員報酬の決め方の注意点と知っておくべき3つの制度
役員報酬を確実に損金扱いするための3つの注意点
退職金に関する確定申告|確定申告の基礎知識

広告

はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法

確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。

個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。

①取引明細は自動で取得

マネーフォワード クラウド確定申告|取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。

無料で試してみる

②仕訳の勘定科目を自動提案

マネーフォワード クラウド確定申告|仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。

機能の詳細を見る

③確定申告必要書類の自動作成機能

確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。

広告
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

右矢印アイコン もっと読む

よくある質問

役員退職金とは?

役員等の退職金には、会社から受け取る退職手当だけでなく、生命保険会社または信託会社から受け取る退職一時金、死亡退職金なども含まれます。詳しくはこちらをご覧ください。

役員退職金にかかる税金の計算方法は?

役員退職金にかかる税金の計算方法は「退職所得 の金額= [退職した際に受け取った収入総額-退職所得控除額] ×1/2」で求まります。詳しくはこちらをご覧ください。

退職金は損金算入できる?

役員退職金を支払う法人は、法上過大と見なされない程度の適正な金額であれば、損金算入することができます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

退職の関連記事

新着記事

広告