借方と貸方|損益計算書の借方と貸方の違いを初心者向けに解説!

簿記について勉強する時に、ごく初歩的な借方と貸方の違いがわからないことが理由で挫折してしまうことがあります。ですが、借方と貸方のルールさえ理解してしまえば、あとは少しずつ学んでいけば必ず簿記はマスターできます。

簿記をマスターすると、決算書を理解する力が飛躍的に上がり、普段目にする上場企業などの決算情報などを深く理解することができるようになります。

今回は、この貸方と借方が登場する損益計算書項目の基本的な簿記の考え方について解説します。

▼参考▼
貸借対照表の貸方と借方の解説はこちら
【会計の基礎】貸借対照表の借方と貸方の違いをわかりやすく解説!

損益計算書を徹底解説

損益計算書とは?

損益計算書とは読んで字のごとく、一定期間にわたり事業を行った結果が損失だったのか、又は利益が出ていたのかを計算する書類です。また、損失、利益の計算は、「収益から費用を差し引く」ことで行います。

損益計算書では、費用を借方(左側)に記載し、収益を貸方(右側)に記載します。そして差額で利益又は損失を算出するため、黒字の場合には借方に利益、赤字の場合には貸方に損失が示されます。

【借方】 【貸方】
費用
利益(差引きで算出)
収益

損益計算書では、損が左側(借方)で、益が右側(貸方)になるため、貸借対照表と違い字の並びのままになります。

また、借方に利益が書かれるのは黒字になった時のみです。赤字もしくは利益が0だった場合には下記の様に利益の項目がなくなりますので注意してください。

【借方】 【貸方】
費用(=損失) 収益

借方(左側)に記載するもの

前述した通り、損益計算書の借方には費用項目が記載されます。それでは次に、費用にはどのような勘定科目が利用されるのかを具体的に見ていきましょう。

費用を具体例とともに解説

費用には、例えば以下のようなものが該当します。

売上原価の項目:商品仕入高、材料費、外注加工費など
販売費・一般管理費の項目:給料、旅費交通費、接待交際費、地代家賃、水道光熱費、消耗品費、減価償却費など

旅費交通費や接待交際費、地代家賃や水道光熱費などが何を指しているかは簡単に想像できます。一方、初心者にとって混乱しやすいのが減価償却費です。そこで次に、減価償却費とは何かを解説します。なお、減価償却費は「原価」償却費ではありませんので字にも注意しましょう。

減価償却費とは

事業活動を行う際には、例えば設備や営業用車両などを利用することも多いと思います。このような、事業活動を行うにあたり一年を超えて使用する資産は「固定資産」と言われ、複数年に亘って費用にしていくことが求められます。

つまり、損益計算書は、1年間(場合によって1年ではないケースもあります)の事業活動の儲けや損失を算定する書類であるため、複数年に亘って事業活動に貢献する固定資産については、その間に亘って費用処理しなければ、適切な儲けや損失が算定できないため、購入した際の金額を複数年に亘って費用にしていく減価償却が行われるのです。

具体的に、法人が社用車として自動車を購入した場合の減価償却について見ていきましょう。社用車は貸借対照表上では資産に分類されるため、購入価格が事業用の資産として計上します。

【借方】 【貸方】
車両 900,000 現金 900,000

社用車を取得した後は、長期間に亘り事業活動に利用されることで、事業の収益獲得(売上高の獲得)に貢献することになります。
仮に、社用車は6年間使用されるとした場合、単純計算では1年間で150,000円(900,000円÷6年)を費用に計上することになります。
直接法という記帳方法で、仕訳を切ると以下のようになります。

なお、間接法という方法もありますが、それは後で解説します。

▼間接法の解説に飛ぶ▼

【借方】 【貸方】
車両減価償却費 150,000 車両 150,000

減価償却費という費用を計上するため、借方に「車両減価償却費」という勘定科目を記載し、貸方には「車両」という資産の勘定科目を使用するのが直接法による仕訳となります。

「車両」は貸借対照表の借方に記載される資産の勘定科目であるため、上記の仕訳により、資産である「車両」の金額が150,000円減額されることになります(900,000円-150,000円=750,000円で記載されることになります)。
また、損益計算書では、減価償却費を計上した分だけ費用が増加し、利益が減少することになります。事業を長期的に継続していくためには、この減価償却費部分も収益で回収していかなければならないということを認識しておきましょう。

貸方(右側)に書くもの

収益には、例えば以下のようなものが該当します。

・売上高
・営業外収益:受取利息(※法人のみ)、有価証券売却益(※法人のみ)
・特別利益:固定資産売却益(※法人のみ)

個人の場合には、利子所得、譲渡所得などとなるため注意が必要です。

収益を具体例と一緒に開設

最初に、現金で10,000円の商品を3個、合計30,000円を売上げた場合を例にして解説します。現金で売上げたという文章からも読み取れるよう、売上高と現金という勘定科目を用います。
売上高は収益項目なので貸方に記載し、借方には現金を用いて仕訳を切ると、以下のようになります。

【借方】 【貸方】
現金 30,000 売上 30,000

次に、後日になって、販売した商品が1個返品された場合を解説します。
返品された場合には、先ほどの売上高を計上した時と逆の仕訳を切ります。1個10,000円の商品が1個返品されたので、金額は10,000円となります。

【借方】 【貸方】
現金 10,000 売上 10,000

上記の商品販売取引と返品取引の例を見た場合、取引によっては、売上高や現金などの同じ勘定科目であっても、借方にも貸方にも用いられます。
このようなケースでは、まずは商品を販売した場合の仕訳(借方 現金 /貸方 売上高)を基本形にして、わかる部分から勘定科目と金額を順番に埋めていけば正しい仕訳にたどり着くことができます。
最初は戸惑う部分もあると思いますが、慣れれば簡単にできるようになりますので頑張りましょう。

減価償却費を間接法で計上する場合

さきほど減価償却費の解説のところでは直接法を適用しました。続いて間接法を用いた場合の解説をします。

【減価償却の仕訳における直接法と間接法の特徴】
直接法:仕訳は初心者にも理解しやすいが、購入当初の価格がいくらだったのかわからない
間接法:購入時の価格がわかるが、減価償却類型額という慣れない勘定科目を用いる

【デメリット】
直接法:購入当初の価格がいくらだったのかわからない
間接法:減価償却累計額という科目を使うので少し面倒

先ほどの直接法で減価償却の仕訳を切ったものを再掲します。

【借方】 【貸方】
車両減価償却費 150,000 車両 150,000

直接法で仕訳を切った場合には、貸方に「車両」の勘定科目を用いて、「車両」の帳簿上の金額から、減価償却を行った金額を差し引くため、帳簿上の車両の金額は小さくなっていきます。
一方、間接法の仕訳では貸方の勘定科目が「減価償却累計額」に変わります。

【借方】 【貸方】 車両減価償却費 150,000 車両減価償却累計額 150,000

間接法では、車両という勘定科目を使用しないため、帳簿上の車両の金額は、購当初の取得価額のままで計上されることになります。その代わりに「減価償却累計額」という勘定科目を利用して仕訳を切ります。
直接法でも、間接法でも、結果としての利益や損失の額は同じになりますが、貸借対照表の表示方法が下記の通り異なってきます。

【1年目】
直接法
(貸借対照表)
車両 750,000
(損益計算書)
減価償却費 150,000

間接法
(貸借対照表)
車両 900,000
減価償却累計額 △150,000
(損益計算書)
減価償却費 150,000

また、2年目では以下のようになります。

【2年目】

直接法
(貸借対照表)
車両 600,000
(損益計算書)
減価償却費 150,000

間接法
(貸借対照表)
車両 900,000
減価償却累計額 △300,000
(損益計算書)
減価償却費 150,000

直接法と間接法を見た場合、損益計算書の表示には変わりありませんが、貸借対照表の表示が異なってくることを覚えておきましょう。

まとめ

簿記では覚えることがたくさんありますが、まずは、借方と貸方の概念を理解し、損益計算書と貸借対照表ではどのような勘定科目が使用されるのかを少しずつ学んでいきましょう!

▼参考▼
貸借対照表の貸方と借方の解説はこちら
借方と貸方|貸借対照表の借方と貸方の違いをわかりやすく解説!



監修:山邊 泰匡 (公認会計士)

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