与信管理は経営者の必須科目!事業の拡大にともなうリスクを回避する与信管理とは

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与信管理

事業を営む際に、自社から第三者へ商品を販売した後に実際の代金を回収するまでのリスクを与信と言います。

企業の目的は利益の最大化であり、その過程には販売⇒現金回収というプロセスが必ず入ってきます。そのため、与信金額が増大することは避けて通ることができません。与信金額の増大は不良債権や焦げ付きにつながる可能性を高めます。この中で販売時の売掛金を増大させながら、不良債権や焦げ付きの損害を最小限に抑える行為を与信管理といいます。

今回はこの与信管理とは何かを解説します。

与信の考え方

与信とは販売⇒現金回収というプロセスの間に発生するものになります。

通常、企業が商品を販売した際には売掛金の発生、受取手形の発行、現金の回収という一連の流れがあります。それぞれの間に発生するリスクが与信であり、その間の合計額を与信限度額といいます。

与信管理とはなにか

与信管理とは自分が取引をしようとする企業が、取引をしても安全かどうかという点に加え、その企業とだったら最大いくらまで取引額を増やせそうか (焦げ付いたり支払い不能になったりしないか)の2点を判断することです。

与信管理をすることは経営上のリスクを低減できるというメリットがあります。例えば、危ない会社に対しては与信の枠を小さくする、もしくは販売しないといった対応が可能だからです。

与信管理における信用リスクとは

会社におけるリスクの1つとして信用リスクというものがあります。

これは販売した商品の金額が、取引先企業の倒産などによって回収できない可能性を指します。金額が回収できないことは結果として自社の損失になるため、信用リスクは重要な指標です。この信用リスクに基づいて取引の有無、取引金額等を決定することも与信管理のひとつです。

与信管理の7つのプロセス

与信管理のプロセスは取引候補先について情報を集め、様々な分析を行い、対象企業の信用力を評価することです。大きくは下記7つのプロセスからなります。

1.情報収集
まず始めに取引先についての情報を多面的に集めます。必要な書類を入手したり、ヒアリング、現地確認をしたりすることによって、取引先企業の内部情報を集めます。

2.定量分析
定量分析とは主として決算書の分析が中心になります。取引先の経営状態をつかむには最も確実な方法です。上場会社の場合には簡単に入手できますが、非上場企業の場合でも調査会社などから間接的に入手して情報を分析します。

3.定性分析
企業情報の中には、決算書に現れない様々な数字があります。例えば、経営者の資質、技術力、販売体制が挙げられます。これらを企業の定性情報といいます。定性情報も分析することで取引先企業の価値が分かります。

4.商流分析
与信リスクを回避するためには、数値の分析だけでは十分とは言えません。その取引先とかかわる様々な関係者も調査し、その企業の取引の全体像にトラブルとなるような点がないかを調査します。

5.信用力評価
ここまでの情報収集から分析を行い、取引先の信用力を評価します。基本は社内の統一的な格付基準で分類し、取引先に対する与信方針を決めます。

6.与信限度決裁
与信限度とは取引先ごとに与信の上限額を設定することです。過度にリスクを負わないように取引における責任者が決裁を行い、取引可否とその上限金額の決定を行います。

7.契約条件交渉
特に問題がなければ、取引先と契約条件交渉を行い契約します。

与信限度額とは何か

与信限度制度は収益機会と与信リスクのバランスで決定されます。設定金額は、必要かつ安全な範囲内が原則になります。

必要な範囲とは、月間販売見込み額を算出し、それに回収サイトを掛けることで平均の売掛債権残高が計算できます。与信限度は季節ごとにバラつくので、債権残の推移を予想し余裕をもって設定しましょう。

回収サイトは、受取手形のサイトと手形回収の売掛期間を考慮します。以上を纏めると以下の様になります。

(月間売上見込み額×売掛期間月数) + (月間売上見込み額×手形期間月数)

月末締め翌月末振出、振出日起算120日後手形という条件であれば、回収サイトは売掛期間が2ヶ月で手形期間が4ヶ月の合計6ヶ月となります。したがって、必要な与信限度は、月間売上見込み額を500万円とすると、500万円×回収サイト6ヶ月=3,000万円となり、多少のバラつきを考慮して3,000~3,500万円で設定します。

次に安全な範囲ですが、これは自社が判断した取引先の格付けに基づいて設定されるものとなります。自社の体力以上の取引を行うことは危険です。また、販売シェアを取りすぎると撤退できなくなります。したがって、与信管理ルールで販売先の格付ごとに与信限度や売込シェアの目安を決めておきましょう。

取引先与信の見直し

与信は一度決めたら永遠に守り続けていくものではありません。取引先の状況に応じて定期的に見直す必要があります。最低でも年に1回は定期的な見直しをすると良いでしょう。大口取引先や要注意先の与信限度は、年2回以上見直す等、状況に応じて変化させることも必要です。

また、取引金額の大幅な増加、与信金額の超過、支払い遅延の発生、取引先の信用力低下など異常発生時は期限にかかわらず、タイムリーに与信限度の見直しを行いましょう。

まとめ

与信とは、企業の商品を販売した後に実際の代金を回収するまでのリスクを指します。企業の目的が利益の最大化である以上、その過程には販売から現金回収というプロセスが必ず入ります。そのため、事業の拡大と共に与信金額が増大することは避けて通ることができません

しかし、与信金額の増大は、不良債権や焦げ付きの可能性の増大でもあります。このリスクに対処することを与信管理といいます。与信管理をしっかり行い、自社の財務を適正にコントロールするようにしましょう。

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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