正しく理解していますか?消費税の仕入税額控除を徹底解説!

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消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される間接税です。最終的には消費者が負担しますが、生産や流通の各取引段階でも課税されます。日本における消費税の制度は「多段階累積控除型」と呼ばれる構造になっています。生産から流通まで、それぞれの段階での取引対価に対して消費税が発生します。生産の途中段階にある企業にとっては、消費税は最終的な消費者が支払う分を預かっている、という状況であり、預かった消費税は、課税事業者の要件を満たしていれば納付する義務があります。

消費税の仕入税額控除とは

課税事業者が納付する消費税額は、課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します(注)。
免税事業者は仕入税額控除を適用することはできません。

(注) インターネット等を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供については、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。

仕入税額控除を行うのは、生産や流通の段階で支払いが行われるたびに発生する消費税の累積を解消するためです。したがって、他の税で行われる税額控除とは性格が異なります。納税に対する優遇措置や特典ではないからです。消費税の仕入税額控除は、生産や流通の段階で消費税が受け渡されるための転嫁手続きに必要なものなのです。

消費税の仕入税額控除の仕組み

仕入税額控除の仕組みについて以下のケースで具体的に見ていきましょう。

ある商品が、Aという工場で原料の生産が行われ、Bという加工工場を経て、Cという販売店によって売られてた場合(A・B・Cは課税事業者とする。)
Aから1,000円でBに売られ、Bからは1,200円でCに売られ、最終的にCは1,500円で消費者に販売していたとする


消費税の流れ

Aは1,000円でBに対して売るので、販売価格は1,080円となり、80円の消費税を受け取ります。Aは受け取った80円の消費税を納付する義務があります。

Bは1,200円でCに対して売るので、販売価格は1,296円となり、96円の消費税を受け取ります。Bはすでに80円の消費税を支払っているので、Bが納付しなければならない消費税は16円となります。

Cは1,500円で消費者に対して売るので、販売価格は1,620円となり、120円の消費税を受け取ります。Cはすでに96円の消費税を支払っているので、Cが納付しなければならない消費税は24円となります。

Aの納付すべき消費税80円と、Bの16円、Cの24円を足すと、120円となり、これは消費者がCに対して支払った消費税の額と一致します。

すなわち、消費者が支払った120円の消費税をA、B、Cのそれぞれが、仕入れに対して自社が付けた分の付加価値に相当する消費税額を負担しながら、納付する責務を負う、という構造になっているのです。

消費税の仕入控除の対象

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。
課税仕入れとは、事業のために他の者から資産の購入や借り受けを行うこと、又は役務の提供を受けることをいいます。

課税仕入には以下のようなものがあります。

1.原材料の購入
2.棚卸資産(商品など)の購入
3.修繕費
4.外注費
5.事業用資産(機械、建物、車両、器具備品など)の購入・賃借
6.水道光熱費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、厚生費など
7.消耗品、事務用品などの購入

なお、事業として提供される人材派遣料や加工賃などサービスに対する支払いには消費税が課税されるので、課税仕入に当たります。非課税となる取引や給与等の支払は含まれません。

消費税の仕入税額控除の計算方法

課税売上げに係る消費税額から控除する仕入税額控除の計算方法は、次の条件で異なります。

1・課税対象となる期間中の課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上ある場合
課税売上の消費税額から課税仕入の消費税額の全額を控除します。

2・課税対象となる期間中の課税売上高が5億円を超えるか、または課税売上割合が95%未満の場合
課税売上に対応する部分のみから課税仕入の消費税額を控除します。

控除の計算方法には個別対応方式と一括比例配分方式があります。

課税売上割合とは、課税対象となる期間中の課税売上高(税抜き)を課税期間中の総売上高(税抜き)で割った値です。

個別対応方式と一括比例配分方式

上記2の場合において、課税売上に対応する部分のみから課税仕入の消費税額を控除する計算方法には次の2つの方法があります。

個別対応方式

その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを以下の3つに区分します。

1.課税売上にのみ対応する課税仕入の消費税額
2.非課税売上にのみ対応する課税仕入の消費税額
3.課税売上と非課税売上に共通して対応する課税仕入の消費税額

この区分をもとに、次の計算式で仕入控除の税額を求めます。

仕入税額控除の金額=〔課税売上にのみ対応する課税仕入の消費税額〕+ (〔課税売上と非課税売上に共通して対応する課税仕入の消費税額〕×課税売上割合)

一括比例配分方式

その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額が個別対応方式のように3つに区分されていない場合又は区分されていてもこの方式を選択する場合に適用します。計算式は次のとおりです。

仕入税額控除の金額=課税仕入にかかった消費税額×課税売上割合

なお、この一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。

簡易課税制度

消費税の納付税額の計算では、実際の課税仕入などに係る消費税額を計算する必要のない簡易課税制度が設けられています。

この制度の適用を受けるには、課税期間の前々年・前々事業年度の課税売上高が5000万円以下という条件を満たしていることと、事前に届出書を提出する必要があります。

この制度では、業種ごとに一定の割合のみなし仕入率を適用し、これをもとに仕入税額控除の計算をします。業種の区分や計算方法については、「消費税の納税はどっちがオトク?!簡易課税と原則課税の違い」を参照ください。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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