要注意!個人事業主がクライアントと契約書を結ぶ際に確認すべき3つのポイント

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個人事業主のみなさんは、普段から定期的に仕事をしているところから新規の相手先まで、大小さまざまな取引先と仕事をされていると思います。通常は相手との「信頼」によってビジネスが成り立つことが多いですが、取引先によっては発注の際に契約書が必要な場合があります。

個人事業主や小規模法人の中には、契約書を締結する際のチェックを専門家に依頼せず、自ら行っているケースがありますが、今回は、自ら契約書を確認する場合に最低限ここは見ておいた方が良いという、契約書を締結する際の最重要チェックポイントをお伝えしたいと思います。

チェックポイント①違約金条項

【具体例】

第●条(違約金)
乙は、解除、解約又は本契約の重大な義務に違反することにより、甲に損害を与えたときは、金100万円を賠償しなければならない。

契約書に上記のような違約金に関する条項が含まれた場合を見ていきましょう。

我が国の裁判では、損害賠償請求を行う場合に、請求する側が損害の発生と損害額の立証を行わなければなりません。ところが、損害の発生を立証できたとしても、その損害額を立証することは、一般的に困難を伴います。たとえば、機密保持契約に違反し機密情報が漏洩してしまった場合、漏洩したことによっていくらの損害が発生したのかを立証することが極めて困難であることは、想像するに難くないでしょう。
このような損害額の立証の困難さに配慮して、民法では、以下のように「賠償額の予定」という制度を設けています。

(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

つまり、当事者が契約書などで賠償額について具体的金額を規定した場合、原則として裁判所は、当該賠償額に拘束されることになります。もちろん、予定された賠償額が法外に不当な金額であった場合には、裁判所が妥当な損害額まで減額することはありますが、これは例外的な場合に限られます。

今回のケースだと、100万円の賠償額を変更することは難しい、ということになります。

これから契約を締結しようとする場合に、自分に不利な違約金条項が存在する場合には、極めて危険な状態であると言えるため、極力削除するように努めた方が良いでしょう。

チェックポイント②競業避止条項

【具体例】

第●条(競業禁止)
乙は、本契約有効期間及び本契約終了時から3年間は、日本国において、甲と競合する第三者との間で本件業務と同様又は類似の取引を行ってはならない。

次に、上記のように競業禁止に関する条項が契約書に含まれていた場合を見ていきましょう。

A社とこれから締結しようとする契約書の中に競業禁止条項が存在する場合、当該条項で規定されている取引をA社と競合するB社と将来的に締結できなくなるおそれがあります。契約締結時点でA社と競業する取引がB社とは発生していないとしても、将来的にどのように取引が生じるかを予測することができません。

そのため、このような競業禁止条項が存在する契約書を締結する際には、将来的に規定されている競業が禁止されたとしても、この契約書を締結するだけの価値があるのかという点について、慎重に検討する必要があります。仮に、今後の商取引において足かせとなるおそれがあるのであれば、可能な限り削除するよう求めるべきでしょう。

チェックポイント③仕様書等の一方的変更条項

【具体例】

第●条(仕様書変更)
甲は、乙に対して、通知することにより、本件業務における仕様書の内容を変更することができる。当該仕様書の変更による追加費用は生じないものとする。

次に、上記のように仕様書変更に関する条項が契約書に含まれていた場合を見ていきましょう。

ホームページの製作やソフトの製作等を請け負う際に、業務内容や開発の内容を明記した仕様書を取り交わすことがあると思います。仕様書の内容は、実際に開発作業を進める過程において、当事者間の話し合いにより変更されることが一般的です。
しかし、開発作業の完成間近になって仕様書の大幅変更を要求された場合や、当初予定していなかった内容を追加して欲しいと要求された場合、製作業者には多大な負担が生じかねません。上記具体例にように、追加費用なしに仕様書の内容を一方的に変更できるとされた場合にはなおさらです(但し、下請法により禁止される場合があります)。

そのため、仕様書の内容や契約内容を変更する場合には、原則として当事者間の合意(もしくは書面による合意)が必要である旨を規定しておくべきでしょう。
そして、仕様書等の内容を無償で一方的に変更できる規定が存在する場合には、後で揉めるおそれがあるため、相手方に削除を求めるべきでしょう。

個人事業主がトラブルに巻き込まれないために

ビジネスは信頼関係が第一ですが、本当の意味での信頼関係は適切な契約の上に成り立ちます。個人事業主のみなさんが「どこをチェックすればよいか、よくわからないので契約書をよく読まずに締結した結果、トラブルに巻き込まれてしまった。」ということを避けるためにも、最低限上記3つのポイントはしっかり頭に入れて契約書を確認するようにしてください。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

取材協力:横張 清威 (よこはり きよたけ)

みらい総合法律事務所
平成13年司法試験合格。平成21年税理士登録。平成24年公認会計士試験合格。みらい総合法律事務所(パートナー)及び監査法人アヴァンティア(非常勤)所属。決算書に強い弁護士として、企業間訴訟、M&A、法務税務顧問などを手がける。著書(共著)として『ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方』(同文舘出版)、『人事・労務における法務とリスクマネジメント』(社団法人企業研究会)、『応用自在!契約書作成のテクニック』(日本法令)など多数。



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