日本でも「Google(グーグル)税」はあり得るのか?日本の多国籍企業の租税回避の対策を追う!

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2015年4月にイギリスがGoogle(グーグル)税を導入することが話題となっています。また、スペインでは実際にグーグル税の影響を受けて、GoogleNewsのスペイン版の閉鎖が決定しました。

多国籍企業における合法的な節税対策と、各国政府の租税徴収システムとの間で対立や摩擦が生じており、日本においても早急的に対応せざるを得ない状況となってきています。

実際に日本でグーグル税が導入された場合、わたしたちの生活にどのような影響があるのでしょうか。

参考:イギリス、25%の「グーグル税」を2015年4月導入 -多国籍企業の租税回避阻止目指す

多国籍企業ゆえに生まれる歪み。“Google(グーグル)税”

Google(グーグル)税とはどのような内容なのか

その国で収益を上げているものの、タックスヘイブンなどを通じて合法的に納税を免れたり、節税対策を講じたりしている多国籍企業に対して課す、新たな租税のことをいいます。各国政府が税源確保を目的として議会で可決成立させたものです。

なぜGoogle(グーグル)税と呼ばれるのか

そもそもGoogle社に特化したものではなく、多国籍企業全般に対するものなのですが、外国企業との取引において約250億円の税収をロスしており、そのうち133億円とGoogle社の税収推定額がもっとも多かったことから、グーグル税と呼ばれるようになりました。

イギリスではグーグル税の正式名称はDiverted Profit Tax(迂回された利益に課税するの意味)と呼ばれています。

なぜGoogle(グーグル)税は作られたのか

多国籍企業が講じている節税対策は、合法的ではあるものの、不当行為であるという見方があります。これは法に反しているわけではないが、企業活動を行なう上で正当行為ではないという考え方に基づいています。イギリスではこういった考え方を「倫理が欠如している」と表現し、多国籍企業から税徴収するための法律の必要性が検討され、議会で可決されたのです。

またイギリスでは「企業が不適切に低税率国に資本を動かしたかどうか」を税徴収するボーダーラインとし、具体的なガイドラインや基準の作成は各国政府に委ねられている形になっているのが現状です。

日本でもGoogle(グーグル)税はあり得るのか?

現在の日本の取り組み

日本の法人税法も、毎年様々な改正が行われていますが、急速にグローバル化、ボーダーレス化される経済活動に対応できていない部分もあります。法人税法の国際的な統一基準を設けることも検討すべきではないでしょうか。

また日本においては、

・租税徴収において公平・中立・簡素を基軸としていること
・超高齢化社会への突入に伴い、税源確保が緊急課題である点

から、多国籍企業への租税対策は重要な問題になりつつあり、向こう2~3年内には何らかの対策が講じられるものと考えられています。

もしも日本がGoogle(グーグル)税を導入するとしたら

実際にGoogle社はスペインでの著作権に係る法改正の影響を受けて、GoogleNewsスペイン版の閉鎖を決定しました。この改正は税金が新たに課されるものではないものの、これまで無料であった各記事の著作元に対する使用料の支払いを強制されることとなりました。GoogleNewsは広告収入を得るものではないため、使用料を支払うのであればサービスの提供そのものを停止せざるを得ないという判断になったようです。

多国籍企業に対しグーグル税を納めるシステムが日本国内で制定されてしまったら、GoogleやAmazon、Appleが日本から撤退するというシナリオも考えられなくはありません。実際にAmazon社は日本の法人税を納めておらず、国税庁から追徴課税140億円を請求されましたが、日米当局間の協議によりその請求が退けられています。

企業のグローバル化が進むにつれて、今後個別に対応していくことはますます困難となり、日本でも法人税法の見直しが必要な局面を迎えています。

まとめ

合法的に節税対策を行なっている多国籍企業に対して納税を課すことで、納税するくらいなら撤退するという選択は、あり得ない話ではありません。撤退した場合、日本においてサービスの利用ができなくなることや、経済活動が一時的に停滞することが考えられます。

一度、多国籍企業が展開するサービス提供が凍結されてしまうと、日本の経済活動が一時的に後退することも考えられます。しかしながら、これをきっかけに新たなサービスを提供するドメスティック企業が出てきたり、既存のサービスが拡充される可能性もあるでしょう。

グローバル化が進む現代において多国籍企業が各国の市場から完全に手を引くことは、考えにくく、最後は各国政府と折り合いをつける形になると思われます。しかし、国際的に統一した徴収システムやガイドラインを定めなければ、多国籍企業と各国政府との争いは、永遠に続くことになるでしょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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